SaaS二重契約を削減する方法|部署間の重複コストを解消

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企業がSaaS導入を進める中で、部署ごとに個別契約を結んだ結果、同じ機能を持つツールを複数契約してしまう「SaaS二重契約」が増加しています。特にリモートワークの普及以降、情報システム部門を介さずに現場が独自にSaaSを導入するケースが急増し、気づかないうちに無駄なコストが発生している企業は少なくありません。

SaaS二重契約は単なるコスト増にとどまらず、セキュリティリスクや管理工数の増大にもつながる深刻な経営課題です。本記事では、SaaS二重契約が発生する理由を整理したうえで、具体的な削減方法をステップごとに解説します。全社的なSaaS管理体制を見直したい担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

記事のポイント

  • 部署ごとの個別契約がSaaS二重契約の主な原因
  • 二重契約は組織の盲点になりやすく発見が遅れる
  • 放置するとコストだけでなくセキュリティリスクも増大
  • 可視化・一元管理・棚卸しの3ステップで削減可能
目次

SaaS二重契約が発生し削減が必要な理由

部署ごとの契約管理が招くコスト増

SaaS二重契約が発生する最大の要因は、部署ごとにSaaSの導入・契約を独自に判断できる環境にあることです。マーケティング部門がプロジェクト管理ツールを契約し、開発部門が同様の機能を持つ別のツールを契約するといったケースは珍しくありません。それぞれの部署は自部署の業務効率化を優先するため、全社的な視点でのツール選定が行われず、結果として似た機能を持つSaaSが複数並存してしまいます。

特にクラウド型のSaaSはクレジットカード決済で即日契約できるものが多く、情報システム部門の承認を経ずに導入される「シャドーIT」も増加傾向にあります。経済産業省や総務省が推進する総務省のクラウドサービス活用指針でも、組織全体での適正な管理体制の構築が推奨されていますが、現場レベルでは徹底されていないのが実情です。

このような状況が積み重なると、企業全体のSaaS関連コストは想定以上に膨れ上がります。一つひとつの契約金額は小さくても、部署数やツール数が増えるほど無駄な支出は指数関数的に増加していくため、早期の対策が求められます。

二重契約に気づきにくい組織の盲点

SaaS二重契約が長期間放置される背景には、組織構造上の盲点があります。多くの企業では、SaaSの契約情報が各部署の担当者や経理部門にバラバラに分散して管理されており、全社を横断して契約状況を把握できる仕組みが整っていません。

特に問題となるのが、契約更新が自動更新型になっているケースです。一度契約すると利用実態を確認しないまま更新され続け、実際にはほとんど使われていないSaaSに対して費用を払い続けている企業も少なくありません。また、部署名やチーム名が異なるだけで同じような機能のツールが導入されていても、名称だけでは重複に気づきにくいという課題もあります。

さらに、SaaSの契約主体がIT部門ではなく各事業部門になっている場合、IT部門はそもそもその契約の存在自体を把握していないケースもあります。このような管理体制の分断こそが、二重契約が発見されにくい最大の要因と言えるでしょう。

放置すると起こるリスクと損失

SaaS二重契約を放置することで生じるリスクは、コスト面だけにとどまりません。まず挙げられるのが無駄なコストの継続的な発生です。使われていないSaaSにも毎月・毎年のライセンス費用が発生し続け、気づいたときには数百万円単位の損失になっているケースもあります。

次に懸念されるのがセキュリティリスクの増大です。管理が行き届いていないSaaSはアカウントの棚卸しやアクセス権限の見直しがされないまま放置されがちで、退職者のアカウントが有効なままになっているといった重大なセキュリティホールを生む可能性があります。

さらに、データが複数のツールに分散することで、情報の一元管理が困難になり、業務効率の低下や部署間の連携不足を招くことも大きな問題です。総務省が公表する情報通信白書でも、クラウドサービスの適切な管理体制の欠如がセキュリティインシデントの一因となることが指摘されており、SaaS二重契約の放置は経営リスクとして捉える必要があります。

SaaS二重契約を削減する具体的な方法

全社のSaaS利用状況を可視化する

SaaS二重契約を削減する第一歩は、全社で契約しているSaaSの利用状況を正確に可視化することです。どの部署がどのようなツールを、いくらで、何人分契約しているのかを一覧化することで、初めて重複や無駄が明らかになります。

可視化の方法としては、まず各部署にヒアリングを実施し、契約中のSaaS一覧をエクセルなどで集約する方法があります。しかし、部署数が多い企業では手作業での洗い出しに限界があるため、SaaS管理専用のツールを活用することが効率的です。近年ではSaaS管理プラットフォーム(SMP:SaaS Management Platform)と呼ばれるサービスが登場しており、契約中のSaaSを自動検出し、利用状況やコストを一元的に可視化できます。

こうしたツールを導入することで、経理データやシングルサインオン(SSO)のログイン履歴と連携し、実際にどのSaaSがどれだけ利用されているかを客観的なデータとして把握できるようになります。可視化ができて初めて、二重契約の解消に向けた具体的な議論が可能になるのです。

部署横断で契約を一元管理する仕組み

可視化が完了したら、次に取り組むべきは契約情報を部署横断で一元管理する仕組みの構築です。SaaSの契約窓口をIT部門や情報システム部門に一本化し、新規契約時には必ず申請・承認を経るフローを整備することが重要です。

一元管理の仕組みを構築する際は、以下のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。

  • 契約情報(契約先・金額・契約期間・担当者)をデータベース化する
  • 各SaaSの利用目的と対応部署を明記する
  • 類似機能を持つツールをカテゴリ別に整理する
  • 契約更新日をアラート管理し、自動更新を防ぐ

また、情報システム部門だけでなく、経理部門とも連携し、支払いデータと契約データを突き合わせることで、申請されていない「隠れたSaaS契約」を発見することも可能です。組織全体でSaaSガバナンスを効かせる体制を整えることが、二重契約の根本的な解消につながります。

ツール選定と承認フローの見直し

SaaS二重契約を未然に防ぐためには、新規ツール導入時の選定プロセスと承認フローを見直すことが欠かせません。まず、新しいSaaSを導入したいという要望が現場から上がった際に、既存の契約リストと照合し、同様の機能を持つツールがすでに社内にないかを確認する仕組みを設けましょう。

承認フローとしては、以下のようなステップを設けることが効果的です。

  • 現場から情報システム部門へSaaS導入の申請を行う
  • 既存契約との重複がないかをチェックする
  • セキュリティ要件(データ保護方針や認証方式など)を確認する
  • コストと費用対効果を評価したうえで正式承認する

この際、情報セキュリティの観点からは、情報処理推進機構(IPA)が公開しているクラウドサービス利用に関するガイドラインなども参考にし、社内のセキュリティポリシーに沿った選定基準を明文化しておくと、担当者が変わっても一貫した判断が可能になります。承認フローを整備することで、SaaS導入の入り口段階から重複契約の芽を摘むことができます。

定期的な棚卸しで再発を防ぐ

SaaS二重契約は一度解消して終わりではなく、新たなツールが日々導入される中で再発するリスクが常に存在します。そのため、半年に一度、あるいは年に一度など、定期的な棚卸しのサイクルを社内ルールとして定着させることが重要です。

棚卸しの際には、以下のような項目をチェックすると効果的です。

  • 契約中のSaaSの利用率(アクティブユーザー数)を確認する
  • 利用率が低いツールについては解約や統合を検討する
  • 部署異動や組織変更に伴うアカウントの過不足を確認する
  • 類似機能のツールが新たに導入されていないかを確認する

この棚卸し作業も、前述のSaaS管理プラットフォームを活用すれば、利用データに基づいて自動的にレポートを生成できるため、担当者の負担を大幅に軽減できます。継続的な棚卸しの仕組みを組織文化として根付かせることが、SaaS二重契約の再発防止における最も確実な方法です。

SaaS二重契約の削減方法まとめ

SaaS二重契約は、部署ごとの個別最適が積み重なった結果として発生する、多くの企業に共通する課題です。しかし、全社のSaaS利用状況を可視化し、契約を一元管理する仕組みを整え、承認フローと定期的な棚卸しを習慣化することで、着実に削減していくことができます。まずは自社にどれだけのSaaSが存在するのかを把握するところから始めてみましょう。小さな一歩が、大きなコスト削減とセキュリティ強化につながります。

記事のまとめ

  • SaaS二重契約は部署ごとの個別契約が主な原因である
  • 契約情報の分散管理が二重契約の発見を遅らせる
  • 放置するとコスト増加とセキュリティリスクを招く
  • まずは全社のSaaS利用状況を可視化することが第一歩だ
  • 契約窓口を一本化し承認フローを整備することが有効だ
  • SaaS管理プラットフォームの活用で管理工数を削減できる
  • 定期的な棚卸しを仕組み化し再発を防止することが重要だ
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